成年後見制度についてQ&A


Q1

成年後見人はどのような仕事をするのですか?


成年後見人の主な職務は本人の心身の状態や生活状況に配慮しながら,財産を適正に管理し,必要な代理行為を行うことです。

 成年後見人は,申立てのきっかけとなったこと(保険金の受取等)だけをすればよいものではなく,後見が終了するまで,行った職務の内容(後見事務)を定期的にまたは随時に家庭裁判所に報告しなければなりません。家庭裁判所に対する報告は,本人の判断能力が回復して後見が取り消されるか,または本人が死亡するまで続きます。

 後見人になった以上,本人の財産は,あくまで「他人の財産」であるという意識を持って管理していただく必要があります。後見人に不正な行為,著しい不行跡があれば,家庭裁判所は後見人解任の審判をすることがあります。後見人が不正な行為によって本人に損害を与えた場合には,その損害を賠償しなければなりませんし,背任罪,業務上横領罪等の刑事責任を問われることもあります。

Q2

成年後見制度(法定後見)を利用するのに係る費用はだれが払うの?


【申立にかかる費用】

●診断書(医療機関ごとの所定の金額:おおむね5千円前後)

●本人の出生から現在までの戸籍謄本(全部事項証明書)(1部450円〜)

●本人と後見等候補者の住民票(1部300円)

●本人の登記されていないことの証明書(収入印紙300円)

●申立手数料(収入印紙800円)

 ※代理権・同意権等付与申立ては別途追加が必要

●登記手数料(収入印紙2,600円)

●切手(3,000円前後:切手の種類があるので、家庭裁判所へ確認します。)

 ※戸籍・住民票はその本人の籍がある、住民登録されている自治体に請求します。

 ※登記されていないことの証明書は、大分地方法務局で窓口請求するか、東京法務局に

  郵送申請します。

●鑑定費用(約30,000円〜100,000万円)※家庭裁判所から精神鑑定の指示がある場合のみ。

●通帳・領収書等のコピー代

 

基本的には、申立人が申立てにかかる費用を払うとされています。また上記以外にも、申立手続き(代理・書類作成)を弁護士あるいは司法書士に依頼することもできますが、その場合、別途経費が必要となる場合があります。

なお、資産・収入に余裕のない場合、法テラスの民事法律扶助を受けられることもあります。

また、後見人等に選任された場合報酬については、家庭裁判所が審判によりその金額を定め、本人の資産から支出されます。(親族など本人以外の方へ請求されることはありません)家庭裁判所で本人の資産状況や後見人等の事務の報告内容を検討して報酬額が決定されます。(東京裁判所の示す報酬額の目安では、基本月額2万円とされています)資力の乏しい本人の場合、市町村により成年後見制度利用支援事業により、報酬について助成を受けられる制度もあります。

Q3

どういう人が後見人等になるの?


後見人等に選任されるのに、特別な資格が必要なわけではありません。被後見人等(本人)の

子や親などの親族が選任されることもありますが、司法書士・弁護士・社会福祉士などの

専門職や法人(社会福祉協議会・NPO法人など)が選任されることが増えています。

家庭裁判所により、本人にとって最適と考られる後見人等が選任されます。

なお、法律上、後見人等にはなりえないもの(欠格事由)が定められており、未成年者・破産者・家庭裁判所で解任された後見人等・行方不明者などは、後見人等になることはできません。

Q4

後見人等がやってはいけないことは?


後見人等は家庭裁判所から選任された公的な立場という面があります。たとえ家族が後見人等に就任した場合でも、きちんとした財産管理と生活の質の向上に向けた事務を行わなければなりません。本人の資産を本人のためでなく自分のために使うような行為(横領)はもちろん許されず、後見人等の解任事由となります。

また、本人と後見人等との利益が反するような行為については、特別にその行為のための代理人を家庭裁判所に選任してもらったり、後見監督人が選任されていれば後見監督人が行います。

個別の行為について、後見人等の立場でやっていいのか疑問が生じたら、家庭裁判所や当センターへ相談しましょう。

Q5

成年後見制度(法定後見)を利用することで

本人と家族との関係はどうなるの?


本人と家族との関係には基本的に変わりはありません。今まで通り、本人と家族としての適切な関係を維持してください。ただ、本人の財産管理面について、後見人に管理の権限が移りますので、それまで管理していた本人の通帳・年金証書等は後見人へ引き渡しが必要になります。保佐人・補助人に関しても、その代理権の範囲で財産管理権限が生じます。

なお、不適切な関与(虐待など)をしていた家族と本人の関係につき、後見人等は行政とも連携して適切な法的対処を行う場合もあります。

Q6

後見人等になるといつまでやらなければならないの?


後見人に就任していても、「正当な事由」があれば辞任が認められます。「正当な事由」とは、後見人等自身の健康上の問題・高齢化・遠方への移転等の理由で後見事務を遂行するのが困難となる事です。

本人が健在であり、その判断能力が回復して後見等開始決定が取り消されない限り継続します。後見人等の辞任を検討する場合は、家庭裁判所に相談しましょう。

Q7

後見制度支援信託とはどういうものなの?


成年後見制度支援信託は、後見制度による支援を受ける方(本人)の財産のうち、日常的な支払をするのに必要十分な金銭を預貯金等として後見人が管理し、通常使用しない金銭を信託銀行等に信託する仕組みのことです。信託財産は元本が保証され、貯金保険制度の保護の対象にもなります。

後見制度支援信託を利用すると、信託財産を払い戻したり、信託契約を解除したりするにはあらかじめ家庭裁判所が発行する指示書を必要とします。このように、後見制度支援信託は、本人の財産の適切な管理・利用のための一つの方法です。

財産を信託する信託銀行等や信託財産の額などについては、原則として弁護士、司法書士等の専門職後見人が本人にかわって決めた上、家庭裁判所の指示を受けて、信託銀行等との間で信託契約を締結します。

信託した財産は信託銀行等で管理されますので、後見人は年金の受け取りや施設入所等のサービス利用料の支払いといった日常的に必要な金銭管理をします。本人の収入よりも支出の方が多くなることが見込まれる場合には、信託財産から必要な金額が定期的に送金されるようにすることができます。