成年後見制度の利用の促進に関する法律(平成二十八年法律第二十九号)

          [※平成28年政令第二百十四号により平成28年5月13日から施行]

目次

  • 第一章  総則(第一条―第十条)
  • 第二章  基本方針(第十一条)
  • 第三章  成年後見制度利用促進基本計画(第十二条)
  • 第四章  成年後見制度利用促進会議(第十三条・第十四条)
  • 第五章  成年後見制度利用促進委員会(第十五条―第二十二条)
  • 第六章  地方公共団体の講ずる措置(第二十三条・第二十四条)
  • 附則

第一章 総則

(目的)

第一条  この法律は、認知症、知的障害その他の精神上の障害があることにより財産の管理又は日常生活等に支障がある者を社会全体で支え合うことが、高齢社会における喫緊の課題であり、かつ、共生社会の実現に資すること及び成年後見制度がこれらの者を支える重要な手段であるにもかかわらず十分に利用されていないことに鑑み、成年後見制度の利用の促進について、その基本理念を定め、国の責務等を明らかにし、及び基本方針その他の基本となる事項を定めるとともに、成年後見制度利用促進会議及び成年後見制度利用促進委員会を設置すること等により、成年後見制度の利用の促進に関する施策を総合的かつ計画的に推進することを目的とする。

 

(定義)

第二条 この法律において「成年後見人等」とは、次に掲げる者をいう。

  1. 一 成年後見人及び成年後見監督人
  2. 二 保佐人及び保佐監督人
  3. 三 補助人及び補助監督人
  4. 四 任意後見人及び任意後見監督人

2.この法律において「成年被後見人等」とは、次に掲げる者をいう。 

  1.    一 成年被後見人
  2.    二 被保佐人
  3.    三 被補助人
  4.    四 任意後見契約に関する法律(平成十一年法律第百五十号)第四条第一項の規定により任意後見
  5.     監督人が選任された後における任意後見契約の委任者

3.  この法律において「成年後見等実施機関」とは、自ら成年後見人等となり、又は成年後見人等若し

      くはその候補者の育成及び支援等に関する活動を行う団体をいう。

 

4.この法律において「成年後見関連事業者」とは、介護、医療又は金融に係る事業その他の成年後見

 制度の利用に関連する事業を行う者をいう。

 

(基本理念)

第三条 成年後見制度の利用の促進は、成年被後見人等が、成年被後見人等でない者と等しく、

   基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される

   べきこと、成年被後見人等の意思決定の支援が適切に行われるとともに、成年被後見人等の自発

   的意思が尊重されるべきこと及び成年被後見人等の財産の管理のみならず身上の保護が適切に

   行われるべきこと等の成年後見制度の理念を踏まえて行われるものとする。

    2. 成年後見制度の利用の促進は、成年後見制度の利用に係る需要を適切に把握すること、市民の

   中から成年後見人等の候補者を育成しその活用を図ることを通じて成年後見人等となる人材を

   十分に確保すること等により、地域における需要に的確に対応することを旨として行われるものと

   する。

    3. 成年後見制度の利用の促進は、家庭裁判所、関係行政機関(法務省、厚生労働省、総務省

   その他、関係行政機関をいう。以下同じ。)、地方公共団体、民間の団体等の相互の協力及び適切

   な役割分担の下に、成年後見制度を利用し又は利用しようとする者の権利利益を適切かつ確実に

   保護するために必要な体制を整備することを旨として行われるものとする。

 

(国の責務)

第四条 国は、前条の基本理念(以下単に「基本理念」という。)にのっとり、成年後見制度の利用の促進に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。

 

(地方公共団体の責務)

第五条 地方公共団体は、基本理念にのっとり、成年後見制度の利用の促進に関する施策に関し、国との連携を図りつつ、自主的かつ主体的に、その地域の特性に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。

 

(関係者の努力)

第六条 成年後見人等、成年後見等実施機関及び成年後見関連事業者は、基本理念にのっとり、その業務を行うとともに、国又は地方公共団体が実施する成年後見制度の利用の促進に関する施策に協力するよう努めるものとする。

 

(国民の努力)

第七条 国民は、成年後見制度の重要性に関する関心と理解を深めるとともに、基本理念にのっとり、国又は地方公共団体が実施する成年後見制度の利用の促進に関する施策に協力するよう努めるものとする。

 

(関係機関等の相互の連携)

第八条 国及び地方公共団体並びに成年後見人等、成年後見等実施機関及び成年後見関連事業者は、成年後見制度の利用の促進に関する施策の実施に当たっては、相互の緊密な連携の確保に努めるものとする。

    2.  地方公共団体は、成年後見制度の利用の促進に関する施策の実施に当たっては、特に、その

   地方公共団体の区域を管轄する家庭裁判所及び関係行政機関の地方支分部局並びにその地方

   公共団体の区域に所在する成年後見人等、成年後見等実施機関及び成年後見関連事業者

   その他の関係者との適切な連携を図るよう、留意するものとする。

 

(法制上の措置等)

第九条 政府は、第十一条に定める基本方針に基づく施策を実施するため必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を速やかに講じなければならない。この場合において、成年被後見人等の権利の制限に係る関係法律の改正その他の同条に定める基本方針に基づく施策を実施するため必要な法制上の措置については、この法律の施行後三年以内を目途として講ずるものとする。

 

(施策の実施の状況の公表)

第十条 政府は、毎年一回、成年後見制度の利用の促進に関する施策の実施の状況をインターネットの利用その他適切な方法により公表しなければならない。

第二章 基本方針

第十一条 成年後見制度の利用の促進に関する施策は、成年後見制度の利用者の権利利益の保護に関する国際的動向を踏まえるとともに、高齢者、障害者等の福祉に関する施策との有機的な連携を図りつつ、次に掲げる基本方針に基づき、推進されるものとする。 

一 成年後見制度を利用し又は利用しようとする者の能力に応じたきめ細かな対応を可能とする観点か        ら、成年後見制度のうち利用が少ない保佐及び補助の制度の利用を促進するための方策について

   検討を加え、必要な措置を講ずること。

二 成年被後見人等の人権が尊重され、成年被後見人等であることを理由に不当に差別されないよう、

   成年被後見人等の権利に係る制限が設けられている制度について検討を加え、必要な見直しを

   行うこと。

三 成年被後見人等であって医療、介護等を受けるに当たり意思を決定することが困難なものが円滑に

   必要な医療、介護等を受けられるようにするための支援の在り方について、成年後見人等の事務 

   の 範囲を含め検討を加え、必要な措置を講ずること。

四 成年被後見人等の死亡後における事務が適切に処理されるよう、成年後見人等の事務の範囲に

   ついて検討を加え、必要な見直しを行うこと。

五 成年後見制度を利用し又は利用しようとする者の自発的意思を尊重する観点から、任意後見制度

   が 積極的に活用されるよう、その利用状況を検証し、任意後見制度が適切にかつ安心して利用さ

   れるために必要な制度の整備その他の必要な措置を講ずること。

六 成年後見制度に関し国民の関心と理解を深めるとともに、成年後見制度がその利用を必要とする

   者 に十分に利用されるようにするため、国民に対する周知及び啓発のために必要な措置を講ずる

   こと      

七 成年後見制度の利用に係る地域住民の需要に的確に対応するため、地域における成年後見制度

   の利用に係る需要の把握、地域住民に対する必要な情報の提供、相談の実施及び助言、市町村

   長による後見開始、保佐開始又は補助開始の審判の請求の積極的な活用その他の必要な措置を 

   講ずること。

八 地域において成年後見人等となる人材を確保するため、成年後見人等又はその候補者に対する

   研修の機会の確保並びに必要な情報の提供、相談の実施及び助言、成年後見人等に対する報酬

   の支払の助成その他の成年後見人等又はその候補者に対する支援の充実を図るために必要な

   措置を講ずること。

九 前二号の措置を有効かつ適切に実施するため、成年後見人等又はその候補者の育成及び支援等

   を行う成年後見等実施機関の育成、成年後見制度の利用において成年後見等実施機関が積極的

   に活用されるための仕組みの整備その他の成年後見等実施機関の活動に対する支援のために

   必要な措置を講ずること。

十 成年後見人等の事務の監督並びに成年後見人等に対する相談の実施及び助言その他の支援に

   係る機能を強化するため、家庭裁判所、関係行政機関及び地方公共団体における必要な人的

   体制の整備その他の必要な措置を講ずること。

十一 家庭裁判所、関係行政機関及び地方公共団体並びに成年後見人等、成年後見等実施機関及び

   成年後見関連事業者の相互の緊密な連携を確保するため、成年後見制度の利用に関する指針の

   策定その他の必要な措置を講ずること。

第三章 成年後見制度利用促進基本計画

第十二条 政府は、成年後見制度の利用の促進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、成年後見制度の利用の促進に関する基本的な計画(以下「成年後見制度利用促進基本計画」という。)を定めなければならない。

2. 成年後見制度利用促進基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。 

  1.   一 成年後見制度の利用の促進に関する目標
  2.   二 成年後見制度の利用の促進に関し、政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策
  3.   三 前二号に掲げるもののほか、成年後見制度の利用の促進に関する施策を総合的かつ計画的に
  4.     推進するために必要な事項

3. 内閣総理大臣は、成年後見制度利用促進基本計画の案につき閣議の決定を求めなければなら

  ない。

4. 内閣総理大臣は、前項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、成年後見制度利用促進 

    基本計画をインターネットの利用その他適切な方法により公表しなければならない。

5. 前二項の規定は、成年後見制度利用促進基本計画の変更について準用する。

第四章 成年後見制度利用促進会議

(設置及び所掌事務)

第十三条 内閣府に、特別の機関として、成年後見制度利用促進会議(以下この章において「会議」という。)を置く。

2. 会議は、次に掲げる事務をつかさどる。 

  1.   一 成年後見制度利用促進基本計画の案を作成すること。
  2.   二 成年後見制度の利用の促進に関する施策について必要な関係行政機関相互の調整をすること。
  3.   三 前二号に掲げるもののほか、成年後見制度の利用の促進に関する基本的事項の企画に関して
  4.     審議するとともに、成年後見制度の利用を促進するための施策の実施を推進し、並びにその実施の
  5.     状況を検証し、評価し、及び監視すること。

3. 会議は、次に掲げる場合には、成年後見制度利用促進委員会の意見を聴かなければならない。 

  1.   一 成年後見制度利用促進基本計画の案を作成しようとするとき。
  2.   二 前項第三号の検証、評価及び監視について、それらの結果の取りまとめを行おうとするとき。

(組織等)

第十四条 会議は、会長及び委員をもって組織する。

2. 会長は、内閣総理大臣をもって充てる。

3. 委員は、次に掲げる者をもって充てる。 

  1.   一 内閣官房長官
  2.   二 内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第九条第一項に規定する特命担当大臣のうちから、 
  3.     内閣総理大臣が指定する者
  4.   三 法務大臣
  5.   四 厚生労働大臣
  6.   五 総務大臣
  7.   六 前各号に掲げる者のほか、関係行政機関の長のうちから内閣総理大臣が指定する者

4. 前三項に定めるもののほか、会議の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。

第五章 成年後見制度利用促進委員会

(設置)

第十五条 内閣府に、成年後見制度利用促進委員会(以下この章において「委員会」という。)を置く。

2. 委員会は、次に掲げる事務をつかさどる。 

  1.   一 次に掲げる重要事項に関し、自ら調査審議し、必要と認められる事項を内閣総理大臣又は関係各
  2.     大臣に建議すること。
  3.   イ 成年後見制度の利用の促進に関する基本的な政策に関する重要事項
  4.   ロ 成年後見制度の利用の促進を図る上で必要な環境の整備に関する基本的な政策に関する重要
  5.     事項
  6.   二 内閣総理大臣又は関係各大臣の諮問に応じ、前号に規定する重要事項に関し、調査審議する
  7.     こと。

(資料の提出要求等)

第十六条 委員会は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、報告を求めることができるほか、資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を求めることができる。

 

(組織)

第十七条 委員会は、委員十人以内で組織する。

2. 委員会に、特別の事項を調査審議させるため必要があるときは、臨時委員を置くことができる。

3. 委員会に、専門の事項を調査させるため必要があるときは、専門委員を置くことができる。

 

(委員等の任命)

第十八条 委員及び臨時委員は、成年後見制度に関して優れた識見を有する者のうちから、内閣総理大臣が任命する。

2. 専門委員は、当該専門の事項に関して優れた識見を有する者のうちから、内閣総理大臣が任命  

  する。

 

(委員の任期等)

第十九条 委員の任期は、附則第一条ただし書の政令で定める日の前日までとする。

2. 臨時委員は、その者の任命に係る当該特別の事項に関する調査審議が終了したときは、解任さ

  れるものとする。

3.専門委員は、その者の任命に係る当該専門の事項に関する調査が終了したときは、解任されるも

     のとする。

4. 委員、臨時委員及び専門委員は、非常勤とする。

 

(委員長)

第二十条 委員会に、委員長を置き、委員の互選により選任する。

2. 委員長は、会務を総理し、委員会を代表する。

3. 委員長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する。

 

(事務局)

第二十一条 委員会の事務を処理させるため、委員会に事務局を置く。

2. 事務局に、事務局長のほか、所要の職員を置く。

3. 事務局長は、委員長の命を受けて、局務を掌理する。

 

(政令への委任)

第二十二条 第十五条から前条までに定めるもののほか、委員会に関し必要な事項は、政令で定める。

第六章 地方公共団体の講ずる措置

(市町村の講ずる措置)

第二十三条 市町村は、成年後見制度利用促進基本計画を勘案して、当該市町村の区域における成年後見制度の利用の促進に関する施策についての基本的な計画を定めるよう努めるとともに、成年後見等実施機関の設立等に係る支援その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

2. 市町村は、当該市町村の区域における成年後見制度の利用の促進に関して、基本的な事項を調

  査審議させる等のため、当該市町村の条例で定めるところにより、審議会その他の合議制の機関

  を置くよう努めるものとする。

 

(都道府県の講ずる措置)

第二十四条 都道府県は、市町村が講ずる前条の措置を推進するため、各市町村の区域を超えた広域的な見地から、成年後見人等となる人材の育成、必要な助言その他の援助を行うよう努めるものとする。

附則抄

(施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して一月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、附則第三条及び第五条の規定は、同日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

 

(検討)

第二条 認知症である高齢者、知的障害者その他医療、介護等を受けるに当たり意思を決定することが困難な者が円滑に必要な医療、介護等を受けられるようにするための支援の在り方については、第十一条第三号の規定による検討との整合性に十分に留意しつつ、今後検討が加えられ、その結果に基づき所要の措置が講ぜられるものとする。

 

(成年後見制度の利用の促進に関する法律の一部改正)

第三条 成年後見制度の利用の促進に関する法律(平成二十八年法律第二十九号)の一部を次のように改正する。
目次中「・第十四条」を削り、 「第五章 成年後見制度利用促進委員会(第十五条―第二十二条) 第六章 地方公共団体の講ずる措置(第二十三条・第二十四条)」を 「第五章 地方公共団体の講ずる措置(第十四条・第十五条)」に改める。
第一条中「とともに、成年後見制度利用促進会議及び成年後見制度利用促進委員会を設置する」を削る。
第十二条第三項中「内閣総理大臣」を「法務大臣、厚生労働大臣及び総務大臣は、成年後見制度利用促進基本計画を変更しようとするとき」に改め、「成年後見制度利用促進基本計画」の下に「の変更」を加え、同条第四項中「内閣総理大臣」を「法務大臣、厚生労働大臣及び総務大臣」に改め、「遅滞なく、」の下に「変更後の」を加え、同条第五項を削る。
第十三条を次のように改める。
第十三条 政府は、関係行政機関相互の調整を行うことにより、成年後見制度の利用の促進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、成年後見制度利用促進会議を設けるものとする。

2. 関係行政機関は、成年後見制度の利用の促進に関し専門的知識を有する者によって構成する成

   年後見制度利用促進専門家会議を設け、前項の調整を行うに際しては、その意見を聴くものと

  する。

3. 成年後見制度利用促進会議及び成年後見制度利用促進専門家会議の庶務は、厚生労働省におい

  て処理する。
第十四条及び第五章を削る。
第六章中第二十三条を第十四条とし、第二十四条を第十五条とし、同章を第五章とする。